樹脂製品の品質を高めるためには、劣化や老化への対策が重要です。弊社では、加水分解安定剤をはじめとして、あらゆる樹脂に対応する機能付与剤を数多く取り扱っております。その他にも、成形加工機械のパージ剤など、樹脂製品の製造に関わるさまざまな商品をご用意しております。
目次
加水分解安定剤
STABAXOL®(スタバクゾール®) 【LANXESS社】
STABAXOL®はLANXESS社が製造、販売する加水分解安定剤(カルボジイミド化合物)です。
プラスチック、ポリウレタンの加水分解による経年劣化を安定させることにより耐用寿命を延長させます。
主な用途
- ポリウレタン(PU)
- ポリエチレンテレフタレート(PET)
- ポリブチレンテレフタレート(PBT)
- 熱可塑性ポリウレタン(TPU)
- 熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)
- ポリアミド(PA)
上記ポリマーなどエステル基を有するポリマー中に、酸・水・熱の三要素が揃うとエステル基の分解を起こす可能性が高まります。
そこでSTABAXOL®を添加することにより、カルボジイミドが酸や水分と反応し、ポリマーより加水分解の原因となる物質を取り除きます。
STABAXOL®の種類
STABAXOL®は大別して二つの種類がございます。
- 低分子量カルボジイミド
ー STABAXOL® I-LF
分子量360g/molであり、酸と素早く反応します - 高分子量カルボジイミド
ー STABAXOL® P
ー STABAXOL® P100
STABAXOL® Pの分子量は 3,000-4,000g/mol、STABAXOL® P100の分子量は 15,000g/mol以上、共に長期安定性に優れ、良好な熱安定性を有します。
過酸化物架橋助剤(トリアリルシアヌレート)
TAC 【WeylChem社】
TACの特性は、特に過酸化物触媒の存在下で容易に重合できる三官能性モノマーです。 鉱酸により加水分解され、アリルアルコールとシアヌル酸が生成されます。 また、強アルカリ性媒体中では容易に分解します。 TAC はハイドロキノン誘導体で安定化されています。 高融点ポリマーの架橋には、安定剤の含有量を増やす必要があります。
主な用途
HNBR、EPM、EPDM、EVA、CR、TPE などのエラストマーや、PE や PVC などの熱可塑性樹脂の過酸化物架橋における助剤として使用されます。
PE および TPE の電子ビーム架橋の助剤としても使用できます。
TAC は架橋密度を増加させ、圧縮永久歪みを低下させ、老化特性を改善します。
代表的な製品としては、パイプやホース、シーリング、制振材、ケーブルコーティング、電子部品、フォーム、靴底などがあります。
TAC 光学グレードは、要求の厳しい用途向けに設計されたハイエンドの特別な品質です。
過酸化物架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート) - 標準タイプ -
TAICROS® 【WeylChem社】
TAICROS® は、特に過酸化物触媒の存在下で重合できる三官能性モノマーです。
優れた熱安定性を備えており、水や表面積の大きい成分や触媒活性基の存在下でも加水分解しません。
主な用途
TAICROS®はハイドロキノン誘導体で安定化されています。 高融点ポリマーの架橋には、より高い安定剤含有量が推奨されます。
HNBR、EPM、EPDM、EVA、CR、TPE などのエラストマーや、PE や FKM などの熱可塑性材料の過酸化物架橋における助剤として使用されます。
PA 6、PA 12、PBT の電子線架橋の助剤としても使用できます。 TAICROS® は硬化時間を短縮し、架橋密度を増加させ、圧縮永久歪みを低下させ、老化特性を改善します。
代表的な製品としては、パイプとホース、ガスケットとシーリング、制振材、ケーブルコーティング、電子部品、フォームと靴底、ソーラーパネル用のEVA封入材などがあります。 TAICROS ® は、要求の厳しいユーザー向けに特別に設計されたハイエンド品質です。
過酸化物架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート) - 特殊タイプ -
TAICROS® M 【WeylChem社】
TAICROS® M は、単独重合傾向が非常に低く、熱安定性が高い三官能性モノマーです。
TAC や TAICROS® などの他の架橋剤と比較して、高温でも蒸気圧が低く、水や鉱酸の存在下でも安定です。
主な用途
TAICROS® M は、高い加工温度でポリマーを過酸化物または電子ビーム架橋するための助剤です。 TAICROS® M による架橋により、自動車、航空宇宙、機械、化学処理用途で必要とされる、高温または攻撃的な媒体に対する最終製品の耐性も向上します。
PA 6、PA 6.6、PA 12、または PBT の電子ビーム架橋により、圧縮永久歪み、E モジュラス、老化特性、および耐薬品性が向上します。
FKM の過酸化物架橋により、バイオディーゼルなどの非常に攻撃的な媒体 (燃料ホースなど) に耐え、最高の自動車基準を満たす必要がある製品の機械的特性を向上させます。
酸化防止剤 / 紫外線吸収剤 / 光安定剤
ポリマー安定剤
熱や寒さ、紫外線にさらされたときの劣化を防ぐために、プラスチックには安定化が必要です。
特別に設計されたプラスチック安定剤は、加工中にポリマーを保護し、プラスチック最終製品が使用中にその物理的特性を維持し、寿命を延ばす効果を付与します。加工、耐熱、耐紫外線安定剤の包括的な製品群を取り扱いと応用を容易にする様々なブレンドと物理的形状で提供しています。
主な用途
- プラスチック向けフェノール系、亜リン酸エステル系、チオエステル系、アミン系酸化防止剤
- プラスチック向け紫外線吸収剤。HALSとUVAを併用することで、最適な紫外線防御効果を得ることができます。
- プラスチック向け光安定剤。ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は紫外線を中和することで、 紫外線暴露による劣化からポリマーを保護します。
UH series 耐摩耗性向上剤
インヘンス 【Inhance社】
Inhance社(米)が独自開発した特殊酸化ガスによる表面処理技術は高分子量ポリエチレン粒子・超高分子量ポリエチレン粒子にカルボキシル基(-COOH)や水酸基(-OH)を導入することに成功しました。
これにより、各樹脂への相溶性・分散性を劇的に改善させるだけでなく、表面摩擦係数の低減、耐摩耗性の向上、接着性の改善、防錆性能の付与などの特徴を付与することができます。
特殊酸化ガスにより表面処理されたインヘンス粒子及びインヘンス繊維には、以下のラインナップがあります。
主な用途
- インヘンスHD-1000シリーズ・・・高密度PE表面処理粒子
- インヘンスUH-1000シリーズ・・・超高分子量PE表面処理粒子
- インヘンス Ti-9113・・・インヘンスTi-9113は活性化された超高分子量PE粒子表面に炭化チタン粒子(粒子径1-2μm)を化学的に結合したいわゆる炭化チタン・ポリマーアロイとなっております。
樹脂用特殊マスターバッチ
概要 【Polytechs社】
ポリテックス社(仏)は、樹脂用特殊マスターバッチメーカーです。
主にオレフィン系樹脂の機能付与剤を製造しております。
その他にもコンパウンドに関するノウハウを活かしたパージング材もございます。
主な用途
- PW-52 PW-60 PW-70 PW-S・・・高コンテントのポリイソブチレンをLLDPEに配合したマスターバッチです。粘着付与剤として使用されています。
- VMPP-5X VMPP-10X・・・過酸化物を低コンテントでPP樹脂に配合したマスターバッチです。PP樹脂のフロー特性を改善します。
- Clean Xpress・・・様々なポリマー(LD & LLDPE - HDPE EVA - PPH PPR - 全てのPVC - XLPE/PEX - スチレン系樹脂 - TPE - 全てのポリアミド - テクニカル&エンジニアリングポリマー - バイオレジン&バイオポリマー…)幅広いクリーングレードを提案し、コストと時間を節約するための最適な方法の開発に取り組んでいます。
資料
樹脂用パージ剤
タイクリンP-SE 【T.M.インターナショナル社】
タイクリンP-SEは、PMMA系樹脂を基材としたパージ剤です。強力な発泡とそれに伴う物理的な掻き落し効果により、炭化物など成形機シリンダー内部の残留物を隅々まで洗浄します。
特徴
- 半溶融状態が長く、高い洗浄効果を発揮します。
- 一般的な樹脂はもちろん、ナイロンやポリエチレンなど、固着性が強く、皮膜として機械内部に残りやすい材料に対しても洗浄効果があります。
- タイクリン自身による炭化は起こりません。
- 少ない必要使用量により経済的で、特に原色材料から透明材料を使用するような場合に最適です。
- 使用温度範囲が広く、低温から高温で成形する樹脂まで幅広く使用可能です。
- 吸湿性や揮発性がなく、人体に無害です。
グレード | 温度範囲 | 適正使用温度 | 粒径 | 荷姿 |
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タイクリンP-SE | 220 ~ 300 ℃ | 240 ~ 280 ℃ | 3 ~ 4 mm(不定型) | 箱(20kg) |